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  • 続「新聞では書かない、ミャンマーに世界が押し寄せる30の理由」vol.4

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    第4回 「Myanmar ICT Parkの昔と今」

    2014年1月、会社(Bagan Investment)の事務所をMICTパーク内に移転した。

    2002年に旧ヤンゴン大学のキャンパスに開設されたMICTパークは当時のキンニュン首相の肝いりで作られたIT関連企業の集積地で、当時からヤンゴンのコンピュータ関連企業が50社あまり入居していた。電力不足のミャンマーにあって、24時間の電力供給とインターネット接続ができるという特別なエリアだった。

    実は2003年にISP(インターネット・サービス・プロバイダ)の会社を設立した時にもここに事務所を構えたのだが、政変により、わずか1年足らずで撤収を余儀なくされてしまった。撤収にいたる経緯は長くなってしまうのでここでは割愛するが、私にとっては苦い思い出のある場所である。

    政変によりキンニュン首相が失脚すると、MICTパークという名称も変更され昨年までは“Myanmar Info-Tech”が正式名称であったが、あまり受け入れられなかったようで、いつの間にか元の名称に戻っていた。ミャンマーに長く滞在されている方にはすぐにご理解いただけると思うが、何かあると名前を変えて無かったことにしてしまうことと、時間の経過とともに「いつの間にか」元に戻してしまうというところがいかにもミャンマーらしい。

    今回私たちの会社が入居したのはフェイズ3と呼ばれる区画に建てられた新しいビル(Building 15)の3階だ。同じフロアには、韓国Daewoo の関連会社と中国の通信会社ZTEがあり、2階にはアメリカ、テキサス州に本社がある電波塔専門の建設会社が入居している。ほとんどはICT関連企業でその大半は大手外資系企業である。

    フェイズ3では6階建てのビルが8棟建設中で、今年に入って続々と新しい企業の入居が始まっている。隣のビルにはWiMaxによる通信サービスを提供しているRed Link社があり、後ろのビルでは昨年携帯電話事業ライセンスを落札したカタールの通信会社Ooredoo社が大きな事務所を構えている。日系ではNTTデータさんと大和総研と現地のシステム会社との合弁によるDIR-ACE Technology Ltd社が2年ほど前から頑張っておられる。

    従来は地元のコンピュータ関連企業(ハードウェア販売、ソフトウェア開発、ITトレーニングなど)ばかりだったので、外国人の姿を見ることは稀であったが、今年に入り構内の雰囲気は一変した。外国人の姿が目立って増え、駐車場には彼らを送迎する高級車がずらりと並んでいる。ここにいるとまさに「世界がミャンマーに押し寄せている」ことが良くわかる。

    もともとヤンゴンにはオフィスビルがほとんどなかったのに、このところのミャンマーブームで外国からの投資が一気になだれ込み、オフィススペースが不足したためダウンタウンのオフィス賃料が高騰し、渋滞が日常化してしまった。
    通信と電力という必要不可欠なインフラがある程度整っていて、駐車場スペースが確保されているという理由だけでも希少な上に、今のところ賃料もダウンタウンのオフィスビルに比べて半額程度なので外資系企業が集中するのは当然であるが、私が重視しているのは実は人材を確保しやすいという利点である。

    もともとはヤンゴン大学経済学部のキャンパスであったので、ヤンゴンの人であれば誰でも知っている場所であるし、ダウンタウンからもそう遠くない。隣にはヤンゴン・コンピュータ大学の大学院もある。パーク内には海外の大学と提携しているビジネススクールやコンピュータ関連の専門学校も多い。要するに学生や若者を集めやすい場所なのである。

    広い敷地内には噴水や芝生広場も配置されており、10年前はよく映画やコマーシャルの撮影に使われていた。ここICTパーク内のハイテク企業で働くことは当時からミャンマーの若者たちの憧れであった。今、パーク内の企業で働く従業員は3,000名を超え、そのほとんどは20代の若者たちである。

    この10年間、優秀な技術者たちの多くは活躍の場所を求めて海外に流出してしまった。経済が低迷していたミャンマーでは最新の知識を身に着けても、それを活かす機会がなかったからだ。しかし、ミャンマーにおいても、これからはICTの分野は急速に成長することは間違いない。ミャンマー人もインド人同様、理数系に強い者が多く、英語での学習に抵抗がないのでコンピュータのリテラシーは高い。素材としては優秀な若者が多いので、経験を積み、活躍の場所さえあれば何か面白いことをやってくれるのではないかと期待している。

    いつか彼らの中からビル・ゲイツやスティーブ・ジョブスのような起業家を育てて、日本やアメリカにも支社を持つような企業を作ることが私の夢だ。

    6/06/2014

    MICTパーク フェイズ3

    MICTパーク

    入居企業の看板 01

    入居企業の看板 02

    松下英樹

    松下英樹

    バガン・インベストメント
    COO (取締役執行役員)

    1964年、静岡市生まれ。早稲田大学商学部卒。参議院議員秘書を経て1999年静岡市にPCスクール運営会社、オックスクラブ・ドット・コムを設立、90年からミャンマーに通い始める。2003年、ミャンマーICTパークにてMyanma Dot Netを設立、無線ネットワークによるISP(インターネット・サービス・プロバイダ)事業に進出するも、政変によりパートナー企業が政府に接収されてしまったため、閉鎖を余儀なくされたが、その後もミャンマーに通い続けて現地での人脈を広げていった。2013年1月、日系初のベンチャーキャピタル、バガン・インベストメント社を設立、取締役執行役員に就任。

    http://www.baganinvestment.com

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