• トップ
  • 企業
  • 経済
  • 政治
  • 国内
  • コラム
  • 写真集
  • ミャンマー新聞プレミアムについて
  • 続「新聞では書かない、ミャンマーに世界が押し寄せる30の理由」vol.5

    • このエントリーをはてなブックマークに追加

    第5回「ファーストレディーのミャンマー愛」

    2014年6月14日、ヤンゴンの国立劇場にて「TERAKOYA Music Festival」と銘打ったチャリティー・コンサートが開催された。

    主催は日本の「NPO法人メコン総合研究所」(略称:GMI)。同団体は2006年からミャンマーで教育支援活動を行っており、私も設立以来の会員の一人である。多くの篤志家の皆さんのご寄付によりミャンマー各地に寄贈された寺子屋は23校となった。

    「寺子屋」とは読んで字のごとく僧院や尼僧院が無料で開講している学校のことである。江戸時代の日本でも盛んであったそうであるが、知識人である僧侶や武士が近隣の子供たちを集めて読み書き、そろばんを教えていたという。

    現在のミャンマー学校教育制度は、11年制(小学校5年間、中学校4年間、高等学校2年間)で、各学校は政府の統括下にあり、教育方針や教育課程などは教育省が管轄している。外務省のWebサイトによれば全国の小学校の数は36,129校(2010年)で、就学率は98.47%(2011-2012)に上るという。義務教育では無いものの、ほぼすべての子供が学校に通っていることになっているが、実際には諸事情により途中で退学するケースは少なくない。

    我々が校舎を寄贈し運営支援している「寺子屋」は教育省が管轄する学校に行くことができない、僧院や尼僧院で修業中の子供たち、あるいは併設された孤児院にいる子供たち、さらには公立学校のわずかな授業料や教材費さえ払うことができないような、生活に困窮している子供たちを対象としており、学費は無料、場合によっては制服や文具も支給している。

    民主化以後、経済発展が目覚ましいミャンマーではあるが、一方で貧富の格差が拡大していることも事実である。運転手付きの高級車に乗って名門校に通う子供たちもいれば、裸足で1時間かけて寺子屋に通ってくる子供たちもいる。

    私も何度かヤンゴン近郊の寺子屋を訪れたことがあるが、決して恵まれた環境ではないにも関わらず、子供たちの表情はとても明るい。学校に通えることが嬉しくて仕方がないという。活動の「報酬」は彼らの屈託のない笑顔を見ることができるだけで十分である。

    2013年11月には東京で「ミャンマー祭り2013」というイベントを開催した。ビジネス面では注目を集めているミャンマーであるが、一般の人々にはまだまだ知名度が低いということで、日本在住のミャンマー人やミャンマーに関係する企業や個人が団体や組織の枠を超えて協力し合い、「ミャンマーを知ってもらう」ために何かやってみようというのがきっかけだった。終わってみれば、初めての試みにも関わらず、3万人以上の来場者が訪れ、大盛況となった。今年も既に「ミャンマー祭り2014」の開催が決定している。

    さて、この団体の名誉顧問を務めるのは現首相夫人の安倍昭恵さんである。もともと途上国でのボランティア活動に熱心であった彼女が数年前にアジアで教育支援の活動をしたいと考えていた際にご主人から「ミャンマーがいいんじゃないか」と勧められたのがきっかけだそうだが、以来年に1~2度のペースでミャンマーを訪れることとなり、すっかりミャンマーの大ファンになってしまったのである。

    コンサートの冒頭、ミャンマーの美空ひばりとも言われる国民的な歌手、May Sweetさんに声をかけられ舞台に上がった昭恵夫人は司会者に紹介され、花束を受け取ると来場者に深々とお辞儀をしただけで、敢えてスピーチはされなかった。日本国のファーストレディという立場を考えるとやむを得ないのかもしれないが、逆に言えば、外交的な配慮が必要なほど、彼女のミャンマーへの思いは特別なのである。実はこの日も朝から寺子屋を6か所も訪問され、会場のスクリーンに映し出された子供たちの写真は昭恵夫人が自ら撮ったものたそうである。

    午後7時過ぎに始まったコンサートは3時間40分に及んだ。Ni Ni Khin Zaw, Chan Chan, R Zar Niといったミャンマーの人気歌手の競演に満員の観客も大満足のようだった。

    日本からは歌手の庄野真代さんが出演され、ミャンマー人の観衆からも喝采を浴びていた。他には定番の「乾杯」や「北国の春」といた日本のカバー曲を聴衆が合唱する場面もあり、日緬文化交流としても意義のあるものとなった。通常であれば公演が終わりに近づくとゾロゾロと席を立って帰り始めるのがミャンマーでは当たり前の光景であるが、今回は最後までお客さんが帰らなかったと言って、会場にいたミャンマー人の友人が驚いていたくらいであった。

    今回で12回目となるミャンマー訪問を終えた昭恵夫人は日本をはじめとする外国企業の進出が相次いでいる状況について報道関係者に質問された際、こう答えたそうである。「安い労働力を求めてというのは、してほしくないと。いつも、ミャンマーに進出したいと思っている経済界の方に申し上げている。対等なパートナーとして、ミャンマーを見てほしい」

    この方のミャンマー愛は本物である。

    7/04/2014

    Chan Chan氏

    May Sweet氏

    Ni Ni Khin Zaw氏

    R Zar Ni氏

    イベントフィナーレ

    安倍 昭恵 首相夫人01

    安倍 昭恵 首相夫人02

    庄野 真代氏

    松下英樹

    松下英樹

    バガン・インベストメント
    COO (取締役執行役員)

    1964年、静岡市生まれ。早稲田大学商学部卒。参議院議員秘書を経て1999年静岡市にPCスクール運営会社、オックスクラブ・ドット・コムを設立、90年からミャンマーに通い始める。2003年、ミャンマーICTパークにてMyanma Dot Netを設立、無線ネットワークによるISP(インターネット・サービス・プロバイダ)事業に進出するも、政変によりパートナー企業が政府に接収されてしまったため、閉鎖を余儀なくされたが、その後もミャンマーに通い続けて現地での人脈を広げていった。2013年1月、日系初のベンチャーキャピタル、バガン・インベストメント社を設立、取締役執行役員に就任。

    http://www.baganinvestment.com

    PR:ミャンマー語翻訳サービス開始!! 日本語→ミャンマー語 ¥1,000/100文字〜