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  • 続「新聞では書かない、ミャンマーに世界が押し寄せる30の理由」vol.6

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    第6回 「ヤンゴンでコンビニ戦争勃発?」

    「ミャンマーにコンビニなんてあるの?」と驚かれるかもしれないが、民主化以後、ヤンゴンなどの都市部は日々、急速に進化を遂げている。次々と開店する大型ショッピングセンターやレストラン、ファーストフード店はどこも若者や家族連れでごった返している。著書には今のミャンマーは日本の明治維新の頃のようだと書いたが、人口600万人を超えるヤンゴンは既にメガロポリスである。もちろんコンビニだってある。

    3か月ほど前、私の住居の近くのショッピングセンターにタイ資本のピザレストランが開店した。明るい照明と清潔感溢れる店内は日本のファミリーレストランにそっくりだ。メニューはピザとパスタが中心で、Sサイズのピザが1枚5,000kyats(約520円)くらいなので値段は日本とさほど変わらない。トッピングの種類も豊富で、生地は厚めのパン生地と薄めのクリスピータイプが選択できる。もちろん味も悪くない。開店以来、大盛況で休日には行列ができるほど繁盛している。3年ほど前まではエアコンが効いているレストランなど数えるほどしかなかったことを思えば隔世の感がある。

    一方、ミャンマーでは規制があって流通業への外資参入は進んでいないため、スーパーマーケットやショッピングセンターは今のところローカル企業の独壇場である。「シティマート」はヤンゴン市内に10数店舗を構える流通業の最大手で、我々外国人にとって生活を支えてくれる強い味方だ。品ぞろえも豊富で食糧品、日用雑貨など生活に必要な物はほとんど手に入れることができる。商品は7割以上が輸入品でみそ、しょうゆなどの日本食材もある。どの店舗も駐車場が不足しているのが難点であるが、週末は家族揃ってお買い物というミャンマー人富裕層の顧客も多い。

    単身者にとってはスーパーよりも身近な存在といえるのがコンビニエンスストアであろう。元々は米国が発祥の地であるそうだが、ライバルとのし烈な競争と世界一厳しいと言われる日本の消費者に鍛えられ、独自の進化を遂げた「コンビニ」は日本が生んだ究極の流通システムと言える。

    そのノウハウは海外にも受け入れられ、特に人口が密集しているアジアの都市部で急速に普及しているのは皆さんもご承知であろう。となれば、アジアのラストフロンティア、ミャンマーへの進出を検討している企業があっても不思議ではない。実際にセブンイレブンやローソンやファミリーマートが市場調査をしたり、現地パートナーを探したりしているという動きもあった。しかし、今のところは商品供給の不安や店舗維持のための社会インフラが不足しているために時期尚早ということで、いまだ事業に着手したという話は聞こえてこない。

    そんな中、ローカル企業が見様見真似で独自のチェーン展開を始めている。日本をはじめとする各国のコンビニのノウハウを徹底的に研究し、店舗づくりに生かしている。下の写真を見て欲しい。商品はコーナーごとに整然と陳列され、欠品もない。商品にはすべて値札が付き、レジにはPOSシステムが導入されている。天井には防犯カメラが備え付けられ、冷房が効いている。驚いたのは弁当やデザートが並んだ冷蔵ショーケースとその場で温められる電子レンジまで用意されていることだ。日本人には当たり前のことかもしれないが、ミャンマーのローカル企業がここまでやれるということに驚愕した。ミャンマーを侮ってはいけない。

    私が住んでいるサンチャウン地区はダウンタウンとアップタウンの中間地点にあり、ヤンゴンの渋谷といっても良いはど賑やかで便利な地域であるが、最近この街でもコンビニが急速に増えている。最大手のABCは既にヤンゴン市内に45店舗を構えているそうだ。他には流通大手シティマートが運営する「シティ・エクスプレス」、「g&g (グラブ・アンド・ゴー)」「ミニ・マート」など。いずれも年中無休、24時間営業を看板にしている。

    今のところ、フランチャイズ方式ではなく、直営店であると聞いているが、既に激しい出店競争が始まっており、大通りに面した好立地の場所では隣同士で競い合っているところもある。空調や照明、冷蔵ショーケースなどコンビニは消費電力が大きい。停電の多いミャンマーでは自家発電装置も必須である。地代も高いので、まだまだ採算的には厳しいと思われるが、早朝から深夜まで客足は途絶えることがない。

    店頭の一番目立つところにはスナック菓子が並べられているところを見ると今のところは子供が一番のお客さんということか。最近はデザートや弁当類も充実してきた。店頭でカップ麺を買って、お湯をもらってその場で食べている若者もいた。レジの横には湯気を立てている蒸し器があり、肉まんが温められている。そのうちミャンマー風のおでんも登場するに違いない。

    この7月から、私の友人が経営するレストランがこのABCストアに日本式のカレー弁当の納入を始めた。商品名はそのものズバリ「日本カレー」である。値段は1個あたり1,500チャット(約150円)。材料はすべてミャンマー国内で調達しているとのことだが、味は日本のカレーライスにかなり近い。路上の屋台なら500チャット(約50円)も出せば食事ができるミャンマーで1個1,500チャットのコンビニ弁当なんて売れるはずがないと思われるかもしれないが、店頭での試食販売など営業努力の成果もあって、徐々に販売数量が増えてきているそうである。

    今はまだ、学生や外国人くらいしか購入していないようであるが、ミャンマーにおいても都市化の進展に伴い「中食」市場が拡大するのは間違いない。一般庶民に受け入れられれば、大きなビジネスとなる可能性は秘めている。

    8/01/2014

    City Express

    g&g convenience store

    abc convenience store

    Nippon Curry 01

    Nippon Curry 02

    コンビニ店内01

    コンビニ店内02

    松下英樹

    松下英樹

    バガン・インベストメント
    COO (取締役執行役員)

    1964年、静岡市生まれ。早稲田大学商学部卒。参議院議員秘書を経て1999年静岡市にPCスクール運営会社、オックスクラブ・ドット・コムを設立、90年からミャンマーに通い始める。2003年、ミャンマーICTパークにてMyanma Dot Netを設立、無線ネットワークによるISP(インターネット・サービス・プロバイダ)事業に進出するも、政変によりパートナー企業が政府に接収されてしまったため、閉鎖を余儀なくされたが、その後もミャンマーに通い続けて現地での人脈を広げていった。2013年1月、日系初のベンチャーキャピタル、バガン・インベストメント社を設立、取締役執行役員に就任。

    http://www.baganinvestment.com

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